保護者から嫌がらせを受け不眠症に

体験談です。私は現在、関西で進学塾の講師をしております。有名私立中学への入学試験突破を目指す小学生に学習指導していますので重い責任を感じる仕事です。子供たちは毎日、目を輝かせながら私の講義を聴いてくれていますので、指導者として充実した時間を過ごせています。

しかし数年前までは、今とは異なる職場で勤めていました。今回、書かせていただく不眠症の体験は 私が小学校で勤務していた時に体験したものです。

目次

  1. 荒れた生徒とモンスターペアレント
  2. なんとか進級は出来たものの、6年生の夏に問題が発生
  3. 陰湿な誹謗中傷で不眠症。短期の休職をして再起を図る
  4. 生徒たちの晴れやかな卒業式。そして不眠症からの卒業

荒れた生徒とモンスターペアレント

今から5年前、小学校の5,6年生クラスの担任教師として私は勤務をしていました。教師としての経験は10年以上ありましたので、学習指導やクラス運営についてはそれなりの自信がありました。ですがこの時に私が受け持ったクラスは、とても問題が多いクラスでしたのでストレスが原因で眠れない状況になったのです。

 

学級崩壊という言葉は、皆さんもお聞きになられたことが有るかも知れませんね。一時期この問題が世間を騒がせました。学級崩壊とは、何らかの事情で生徒たちの言動が荒れてしまい正常な授業が維持できない状態の事です。

 

そしてもう一つの言葉も 皆さんはテレビの報道などでお聞きになられたでしょうか。学校や教師に、しつこく理不尽な要求やクレームを出す保護者の存在。《モンスターペアレント》という言葉。同名のテレビドラマが放映された事もありました。(実際にそれを見た当事者としましては、実態をとても上手く表した言葉だと思っています。)

 

私が受け持ったクラスには、家庭に深刻な問題がある生徒が複数いました。そして学力の遅れが見られる生徒も多数いました。家庭環境が複雑であったり、学力が遅れている生徒が多いと、どうしても授業が荒れがちになるのですが、そんな中にモンスターペアレントを持つ生徒がいれば、学級崩壊がほぼ確定してしまいます。

 

モンスターペアレントと呼ばれる親たちは、「学校の先生の言う事なんか従わなくても良い」と平気で我が子に教えるからです。担任となった最初の3ヵ月間ほどは授業中の私語は当たり前で、立ち歩きする生徒もいました。

 

そして禁止されている菓子やスマホを持って登校する生徒もいました。もちろん注意をして抑えていたのですが 荒れた生徒の影響を受けて周りの生徒までが荒れてしまうのです。そして頻繁に学校にクレームを入れてくるモンスターペアレントがいましたので、私はストレスを抱えながら学級崩壊寸前の状態で働いていました。

なんとか進級は出来たものの、6年生の夏に問題が発生

驚くほど荒れたクラスで、とても指導がしにくい状況でした。しかし子供たちには素晴らしい個性がありました。荒れた言動は主に家庭の事情による寂しさが原因でしたので、諦めずに私から声かけを続ける事で、まじめに授業を受けられるようになった生徒もいました。

 

言動に問題のある生徒たちも 1年間を友達や教師と過ごす中で彼らなりに成長したのです。いくつかの難題を抱えながらも、私は生徒達をなんとか無事に6年生に進級させることが出来ました。学級崩壊だけは免れたのです。

 

しかし残念ながら1人の生徒とその両親(モンスターペアレント)だけは、最後まで荒れた言動が変わりませんでした。この生徒は普段から無断欠席が多く、母親は定期的に私の指導について学校、時には教育委員会にクレームの電話を入れてきました。父親については子供がした喧嘩のことで学校の職員室まで来て、私が怒鳴られるということも有りました。

 

しかし全体的にクラスは、まとまりを見せていました。私も気分的に落ち着いた頃です。6年の夏に問題が起こりました。男子生徒2人による喧嘩があり、それが原因で保護者の一部で揉め事が起こったのです。(生徒の喧嘩自体は大きなケガなどは無く、すぐに仲直りしていました)

 

喧嘩で暴力を振るった生徒の保護者は、すぐに相手の家へ電話を入れて謝罪したのです。しかし相手がその謝罪に納得がいかないと騒いで、その内容を他の保護者に広めてしまったのです。その問題が大きくなるように仕向けたのが先に書いたモンスターペアレントでした。とても残念な事なのですが、問題が大きくなる事によって担任の私を困らせるのも目的だったようです。

 

私は教師ですので生徒同士の喧嘩が起こった時には もちろん中立の立場で仲裁に入ります。しかしモンスターペアレントと それに影響を受けた保護者は騒ぎます。

 

「喧嘩を事前に防がずに放置した。そして加害者側の味方ばかりしている」というような根拠の無いデマを広げて、最終的にはスマホでSNSまで使って私に対する誹謗中傷を始めたのです。普通に考えて有り得ないくらいに問題を広げようとする。誰のためにもならない事なのですが、これがモンスターペアレントの本質なのですね。

陰湿な誹謗中傷で不眠症。短期の休職をして再起を図る

モンスターペアレントから誹謗中傷を受けたことが大きなストレスとなり、私は体調を崩しました。最初は神経性の腹痛が起こりました。そして保護者の間に悪い噂話を広められた日から数えて3週間後には、円形脱毛症となり、不眠の症状も出てしまいました。

 

毎晩、2~4時間くらいしか眠れないのです。眠れない日が続くと、疲労感が抜けなくて本当に大変でした。休日でも神経がずっとピリピリした感じになっていたのです。おそらく当時の私の生徒への指導は、かなりヒステリックであったと思います。

 

最終的には6年生の10月に欠勤してしまう日が続く状態になりました。6年生の秋といえば学校行事も有り、とても重要な時期なのですが発熱や腹痛などで 朝 ベッドから起きられないという辛い状態となったのです。

 

校長や教頭に相談したところ私の体調を心配してくださったので 私は救われました。そして短期の休職をすることができました。また保護者から誹謗中傷を受けるなどした問題についても学校の問題として取り上げていただいたので、私を苦しませていた保護者からの嫌がらせについては予想以上に速やかに改善されました。

 

休職中は基本的に休養生活でした。軽い運動と、自分に合う寝具など眠る環境を見直しました。そして、同僚に教えて貰ったヨガを始めていました。ヨガの呼吸法が私にとっては体調改善に大きく影響したようです。最も酷い時期には睡眠は3時間くらいだったのですが、ヨガを始めて少しずつ睡眠時間を元の6時間まで戻すことができました。

 

約1ヵ月の休職期間を終えて私は通常の勤務が出来るようになり、3月の卒業式まで生徒達と共に楽しく過ごす事が出来たのです。当時の教頭、校長、そして同僚達には今も深く感謝をしています。

生徒たちの晴れやかな卒業式。そして不眠症からの卒業

3月下旬の良く晴れた日に、卒業式の会場となる体育館には生徒達の健やかで明るい顔が並びました。教師のピアノ伴奏で生徒たちが校歌を歌います。勉強を頑張った生徒も、運動会を頑張った生徒も、そして授業中に私語や立ち歩きで私を困らせた生徒も、皆がどこか照れ臭そうで、皆がとても誇らしげでした。

 

最後まで私を困らせ続けたモンスターペアレントの姿も保護者席に見えました。ハンカチで何度も涙を拭っていました。やはり親としての熱い思いは、お持ちなのだと感じました。その涙を見て、私は最後に心情的に許せたのです。中学では我が子のために教育に理解のある保護者になっていただきたいと思いました。

 

卒業証書の授与。

担任教師が生徒の名を1人1人読み上げていきます。自分で声が震えるのが分かりました。苦しい思いをした2年間でしたが、無事に生徒達の卒業を見送ることが出来ました。

 

最後の数ヵ月は体調不良、不眠症に悩まされましたが、今はもう完治しております。教師には卒業証書はありませんが、生徒から受け取った寄せ書きが卒業証書です。それには、保護者からの御礼の言葉もたくさん書き並べられていました。

 

「こちらこそ涙と笑いの2年間をありがとう」

 

そんな熱い思いを胸に、私は教師としての次の一歩を踏み出しました。最後までご覧くださりありがとうございました。どうぞ皆様も、温かな快眠生活をお過ごしください。

この記事を書いた人

SLEEP BASE MAGAZINE 編集部

編集長の安田 信達です。「快眠器具」を開発研究しています。趣味は「運動」です。筋トレにはまっています。自分自身の体験も活かしながら「睡眠」と「運動」の関係を日々研究することに励んでいます。


副編集長の安田 明道です。眠りがいかに大切なものかをご理解頂くと共に、睡眠に悩む方々に”楽しい眠り”をご提供させていただきます。

SLEEPBASE MAGAZINEが、読者様の睡眠を豊かにすることにお役にたてたら幸いです。
編集部一同 https://sleepbase.jp

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保護者から嫌がらせを受け不眠症に