医師が語る無理せず20kg以上のダイエットを可能に

男性 / 20代後半 総合病院に勤務する現役医師です。ダイエットをして体重は減ったけど、見た目があまり変わらずキレイな体にならないと悩む人は多いです。それは間違えたダイエット方法で、脂肪ではなく筋肉が落ちてしまっていることが原因かもしれません。

私は、過去に20kg以上のダイエットを経験したことがあり、さまざまな方法を試してきました。その経験から、ダイエットでは、体重の数字ではなく見た目がもっとも重要であると強く実感しております。

そこで今回は、科学的な根拠に基づき、筋肉をなるべく残して脂肪だけを落とせるダイエット方法をお伝えしたいと思います。

目次

  1. 走るダイエットはやめましょう
  2. 筋肉を残しながら脂肪を落とすには筋トレと食事管理が大切

走るダイエットはやめましょう

ダイエットの手段として必ず挙げられるのが、ジョギングやランニングなどの有酸素運動です。一生懸命走って汗をかくと達成感もあり、脂肪燃焼にも効果的な気がしますよね。しかし残念ながら、有酸素運動はあまり効果的なダイエット方法ではありません。

 

理由の一つとしては、有酸素運動によって消費されるカロリーがあまり高くないからです。たとえば体重50kgの方が消費する、運動時のカロリーは40分のジョギングで151kcal、20分のランニングで158kcalです。 1)記事下 参考文献

 

セブンイレブンの梅おにぎり1個で166kcalなので、それとほぼ同じカロリーです。

2) 記事下 参考文献

 

運動後のご褒美にアイスなんて食べた日には、むしろ太ってしまいますね。したがって有酸素運動を頑張って、消費カロリーを増やすというのはあまり得策ではないのです。

 

また他の理由として、有酸素運動で使われるのが主に遅筋繊維だからというのがあります。筋肉には瞬発的な運動に使われる速筋繊維と持久的な運動に使われる遅筋繊維があり、速筋繊維は太く遅筋繊維は細いです。

 

したがって遅筋繊維をメインに鍛えても筋肉は大きくなりづらく、メリハリのある体型になりません。100m走の短距離選手とマラソン選手を想像してください。100m選手は男女ともに筋肉質なアスリート体型が多いと思いますが、マラソン選手にそのイメージはなく細い方が多いですよね。これと同じように、体質によって見た目は大きく変わるのです。

筋肉を残しながら脂肪を落とすには筋トレと食事管理が大切

体重を落とすのに必須な条件は「消費カロリー>摂取カロリー」の状態を保ち続けることです。しかしながら、先ほどお伝えしたように運動による消費カロリーはあまり大きくないので、食事管理なしに痩せることは難しいです。

 

そのためダイエットでは食事量を減らし摂取カロリーを抑えることが大切になるのですが、ここでも問題があります。それは食事管理だけで体重を落とすと、筋肉も一緒に落ちやすくなってしまうということです。

 

体重が落ちても、それと共に筋肉も減ってしまえば、きれいな体にはなれません。それを解決する、唯一の方法が筋トレです。ダイエット方法によって体がどう変わるのか、調べられた論文があるのでご紹介します。 3)  記事下 参考文献

 

肥満体型の男性35人を対象にした研究で、ダイエット方法を「食事だけ」、「食事と有酸素運動」、「食事と有酸素運動と筋トレ」に分けました。運動は週3回行われ、実験の期間は12週間です。

 

その結果、食事だけの群では9.64kg、食事と有酸素運動の群は8.99kg、食事と有酸素運動と筋トレの群は9.90kgの体重減少でした。そして、食事だけの群では除脂肪体重の顕著な減少が見られたとのことなので、筋肉量がかなり減少していたと考えられます。

 

一方で食事と有酸素運動と筋トレの群では、ベンチプレスで19.6%、スクワットで32.6%の筋力増加がみられています。したがって、筋肉量は明らかに増えており、実質の体脂肪減少量は遥かに多かったと思われます。

 

このことから、「見た目なんか関係ない。とにかく体重の数字だけ落とせればそれでよし。」という人以外は、食事だけでなく筋トレも取り入れた方が良さそうです。とは言え、ジムでトレーニングするのはハードルも高く、時間に余裕のない人も多いでしょう。

 

そんな方のために、「ダイエットのための筋トレは1セットだけでも良い。」という報告もあるので、ご紹介します。4)   記事下 参考文献

 

この実験では8人の肥満体型の成人を対象に、1セットと3セットの筋トレを実施し、安静時のエネルギー消費量を測定し比較しました。

 

3セット群の1回の運動時間のトータルは36.7分で、1セット群のトータルは16.4分です。その結果、どちらも同じように運動後の安静時代謝が上昇しており、72時間後でも1セット群で5.2%、3セット群で4.6%の上昇が見られました。

 

たった、1回15分の筋トレでも安静時代謝は高められるのです。さらに筋トレによって筋肉量が増えれば、それだけ代謝も高まるため、より有利に痩せることができます。まさに筋肉を残し、脂肪だけを落とす究極のダイエット方法ですね。これを機にぜひ一度、ダイエットに筋トレを取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

1) ke!san 生活や実務に役立つ計算サイト

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228742

ランニングは時速8.3km、ジョギングは時速5.6kmのウォーキングで計算

 

2) EPARK ichie 【低カロリー順】セブン-イレブンおにぎりおすすめ12選!人気の種類も紹介

https://epark.jp/ichie/seven-eleven-rice-ball/

 

3) Med SciSports Exerc.1999Sep;31(9):1320-9.Influence of exercise training on physiological and performance changes with weight loss in men

https://journals.lww.com/acsmmsse/Fulltext/1999/09000/Influence_of_exercise_training_on_physiological.14.aspx

 

4)EurJApplPhysiol.2011Mar;111(3):477484.Publishedonline2010Oct1.doi:10.1007/s00421-010-1666-5 One-set resistance training elevates energy expenditure for 72 h similar to three sets

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3071293/

 

この記事を書いた人

SLEEP BASE MAGAZINE 編集部

編集長の安田 信達です。「快眠器具」を開発研究しています。趣味は「運動」です。筋トレにはまっています。自分自身の体験も活かしながら「睡眠」と「運動」の関係を日々研究することに励んでいます。


副編集長の安田 明道です。眠りがいかに大切なものかをご理解頂くと共に、睡眠に悩む方々に”楽しい眠り”をご提供させていただきます。

SLEEPBASE MAGAZINEが、読者様の睡眠を豊かにすることにお役にたてたら幸いです。
編集部一同 https://sleepbase.jp

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